夏油傑が高専を出てから着ている服。
『五条袈裟』
彼にとっては、「夢」を見通す青き燈。
そして、『最強』のすみか。
なぜ、着ているのか。その理由、意味。
詳しく解説していく。
詳しく解説していく。
ネタバレ範囲は0巻~9巻まで。
加えて公式ファンブックを含みます。
【燈】
夏油傑は高専を出た。
親友に相談することもなく。唐突に。
そんな彼が”五条”袈裟を羽織る理由。
それは『ともしび』だからだ。
【五条袈裟って何?】
そもそも、五条袈裟って何?
という人もいるだろう。
まずはそこを軽く解説する。
五条袈裟とは、夏油が着ている黄色い服。
仏教の修行僧が着る服である。
仏教の修行僧が着る服である。
仏教僧はこの服(五条袈裟)を含め、
三つだけ衣服の個人所有を許されている。
三つだけ衣服の個人所有を許されている。
ちなみに「袈裟懸け」とは、
・袈裟を肩からかける(着る)こと
・袈裟を肩からかける(着る)こと
・袈裟を着るように肩から斜めに切られる。
この2つを指す。
そう考えると、
五条も「袈裟をかけた」と言える。
五条も「袈裟をかけた」と言える。
【親友とは何か】
公式ファンブックにはこうある。
「学生時代、五条の行動の指針は夏油」
事実、狂気の信徒の前で夏油に聞いた。
『何も感じない 殺すか?』と。
大量の一般人の殺害。
呪術規定の明らかな違反。
そんな重大な決断を五条は夏油に委ねた。
夏油の眼にどう映ったのだろう。
どう思っただろう。
【兄貴】
夏油はそのしばらく後、闇へと堕ちた。
一般人112人。
そして両親。 全てを殺した。
「弱者(呪術師)の救済」
つまり「猿(非術師)の殲滅」を掲げて。
そのために0巻では里香(力)を狙った。
では、考えなかったのだろうか。
圧倒的強者であり、夢阻む障害となる、
「五条悟を倒してから高専を出よう」
あるいは
「五条悟を味方に付けよう」と。
五条が狂う瀬戸際に居た盤星教信者は
50にも満たないだろう。
しかし五条はその選択肢の前に居た。
あと一声。一歩。
夏油が背中を押す。それだけ。
たったそれだけで五条は壊れていたはず。
夏油を信頼したから、決断をゆだねた五条。
まるで兄の後ろを追う弟のよう。
疑わない。故に五条は”楽をする”はずだ。
つまり、112人を殺した夏油傑。
彼が抱く、理想への狂った道筋。
そこに乗る責任や罪、意味。
全てを共に背負って横を歩む五条悟。
夏油が本気で説得するか、騙せば。
そういった「もしも」はあり得ただろう。
それを「親友」と呼ぶかは別として。
【でも、そうはならなかったんだよ】
夏油は五条に何も告げず、高専を出た。
つい零れてしまったとはいえ、
九十九にすら相談しているにも関わらず。
夏油は五条に何もせず、高専を出た。
乙骨(呪術師)は殺しに行ったにも関わらず。
そして、高専を出た後に五条に会った。
それは当時の彼らの実力差を考えれば、
無謀であり、無駄、「無意味」なはずだ。
無謀であり、無駄、「無意味」なはずだ。
夏油の言動には五条勧誘の意思はなく、
むしろ殺されることすらも覚悟していたはず。
なんのために、なんの運を試したのだろうか。
【だからこの話はここでお終いなんだ】
学生時代の夏油が、正面から、
覚醒した五条に勝てる可能性は無い。
だから彼は吐き気を呑み込み、呪霊を集め、
「呪術師殺害」の矛盾すらもぐっと堪え、
「呪術師殺害」の矛盾すらもぐっと堪え、
自分の両親や乙骨を殺しに行った。
『勝ち目』
これは試すまでもない。確実な0%
かといって懐柔する気も見えない。
戦う気も説得する気もない。
じゃあ、なんの運を試したのか。
それは『五条悟が”選ぶ”かどうか』 だ。
選ぶ道は問わない。
夏油を殺す、追いかける、捕まえる。
追いかけることすらできない。
何でも良い。
ただ、「理由」さえ五条の胸にあれば良い。
パパ黒と戦った時のように、
信徒を殺そうとした時のように、
「空っぽ」じゃなければなんでも良かった。
善悪の指針の後ろを歩き、楽をしない。
そんな五条となら敵対していてもいい。
止められてもいい。
ただ、「対等」に成りたかった。
なぜ?
『 親友 』だからに決まっている。
己がすみかを『選んだ』親友は、
夏油にとって清く澄む思い出の象徴。
夢を見通すための蒼き燈明。
『あの問い』の答えこそが、
夏油傑が羽織る「五条袈裟」の理由。
『最強』