amedotのブログ

呪術廻戦の考察を主に書きます

【呪術廻戦】羂索が言う「呪力の最適化」について

羂索が言っていた進化論

 

「呪力の最適化」

 

について考察しました。

 

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ネタバレ範囲は0~18巻、公式ファンブック(公式FB)です。

※羂索は不明瞭な部分が多いため、この記事も仮定や推定が多くなっています。

 

 

【目次】

 

【前回の話】

amedot.hatenablog.com

以前の記事で全身に存在する「心」によって呪力が生まれていると考察しました。これを念頭に以下の話を読んでいただいた方が良いと思います。

 

【心と生得領域】

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呪術廻戦2巻/芥見下々

宿儺は「生得領域」「心の中」のようなものであると称しました。また、公式FBによると生得領域は非術師/術師関係なく存在します。つまり「術式」「生得領域」は別ということになり、「生得領域」は術式を持っていない人間を含めた全人類に存在していると考えて良いはずです。

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呪術廻戦9巻/芥見下々

そして(放出できる量に個人差はあるが)「呪力」も同様に非術師/術師関係なく存在します。

更に、人間だから当然「感情」「心」非術師/術師関係なく存在するでしょう。

つまり心が呪力の源で、心の中と生得領域が近いものであるなら、生得領域は呪力の源であると考えられます。

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呪術廻戦2巻/芥見下々

生得領域を展開する領域展開が術者に対してバフ(能力上昇)の効果があるのはそういった面もあるのかもしれません。

 

天元

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呪術廻戦17巻/芥見下々

天元は同化に失敗することで進化し、「どこにもいないがどこにでもいる」存在に成りました。

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呪術廻戦17巻/芥見下々

そして天元は自分を安定させるため結界を使用しました。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

公式FBによると体内は一種の領域

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呪術廻戦2巻/芥見下々

領域とは通常「結界」と術式を付与された「生得領域」の2つでできています。よって人体も「結界(のようなもの)」と「生得領域(のようなもの)」の2つで構成されていると考えられるはずです。

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更に、宿儺が言うように「生得領域」と「心」が近いものだとすれば「結界」とは「肉体」に近いものであると考えられます。

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呪術廻戦14巻/芥見下々

宿儺の「結界を用いない領域」「神業(あきらかに従来の領域より上の物)」と描かれていること。天元「肉体が必要ない存在」「進化した(上の存在に成った)」こと。

これらから分かることは

天元の進化と

宿儺の領域は

同種の進化経路であり

「結界のようなもの」を否定している。

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呪術廻戦17巻/芥見下々

そして天元は進化し呪霊に近い存在に成った。なら呪霊は天元に似た存在であるはず。つまり「結界のようなもの」を否定した存在であるはず。

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呪術廻戦3巻/芥見下々

実際に呪霊は素質のある者以外には基本的に認識できない。これは天元と同じ「どこにもいない」存在にかなり近いと言える。しかし呪霊は天元のようにどこにでも存在できるわけではない。

ということは呪霊は「どこにもいないがここにいる」不十分で矛盾した存在だ。

 

これを羂索は見下している

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呪術廻戦2巻/芥見下々

とすれば当然、彼が目指す先は呪霊のようなものでないことはもちろん、それに近い宿儺や天元のようなものであるとも考えにくい。

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呪術廻戦17巻/芥見下々

そして羂索は結界術に長けている。

ならば羂索が言う「呪力の最適化」「結界のようなもの」を肯定する、肉体の可能性を信じたものであると考えるのが妥当。

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呪術廻戦12巻/芥見下々

そして羂索の何らかの意図により生み出された「九相図」には呪力を血液に変換する「特異体質」がある。その体質は彼らの「血液を操る術式」を考えれば呪力を術式に合わせて「最適化」したと言えるだろう。

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呪術廻戦16巻/芥見下々

しかしこれでは自らの可能性の域を出ない。

つまり逆に言えば自らの可能性の範囲で少しは目的が満たされているはず。じゃあ最終地点はどこなのだろうか。

九相図の特異体質が「最適化」なのだとすれば足りないと思われるのは2つ

1.ベースの術式が弱い

2.最適化度数が足りない

 

1の場合羂索は既に強力な術式の肉体を持っていないとおかしい。そして現状羂索が手に入れることが可能そうでなおかつ強そうな術式は「五条の術式(無下限)」、「加茂家の術式」、「宿儺の術式」。このあたりだろう。

しかし無下限呪術は六眼というある種最適化できる目を既に持っている。まだ先を見据えている様子の羂索がそこで満足するとは思えない。加茂家の他の術式が欲しかったならどんどん九相図を作ればよかったはず。

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呪術廻戦15巻/芥見下々

宿儺の術式が欲しいから虎杖悠仁という器を作り、そこに宿儺の術式を刻ませようとした。そしてその後虎杖から自主的に出て行ってもらうために裏梅をそばに置き、協力したという可能性。今までのことを考えるとこの可能性は十分にあるだろう。

 

次は2。

最適化度数が足りない可能性。

「呪力を血液に変換できる体質」というのはつまり、構築術式や反転術式治療を行わずに同様の効果を得ているということになる。これの上位互換といえば解呪前の「里香」だろう。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

彼女はその変幻自在の呪力「人間を収納」、「メガホンの具現化」、「呪言術式の創造(おそらく里香が作った術式に呪力を流し実際に使用しているのが乙骨)」、「呪力をビームへ変換」といったことを可能だ。

呪力を術式というフィルタを通すことなく目的に合わせ変化させられる肉体。これが作られれば「呪力の最適化」が行われたと言えるだろう。

 

つまり

「宿儺の術式を得るために虎杖という器を作り、受肉させた。そして自主的に宿儺が虎杖の肉体から出るように裏梅と協力している」

「解呪前の里香のように呪力を変幻自在に扱うことができる肉体が生まれるのを待っている」

このどちらかではと考えられる。

 

しかしこれらの可能性が正しいとしてその肉体を得て何をしたいかが全くわからない上に羂索についてはまだ謎が多い。別の可能性が隠れているかもしれないし、開示されるかもしれない。なので今後も考察し追記していこうと思う。

↓関連記事

amedot.hatenablog.com

 

【余談】

≪メタ的視点≫

しかし宿儺の考え方(結界の否定)、羂索の考え方(結界の肯定)、そのどちらが正しかったとしても悪人の論理が正しかったということになってしまう。これは少年漫画的にあまり良くないはず。

じゃあ虎杖悠仁が選ぶ道

主人公が選ぶ道

「正解の道」とは何か。

それはまるで黒閃のように「結界も、生得領域も肯定した」考えではないだろうか。

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呪術廻戦7巻/芥見下々

彼は黒い火花に愛されているのだから。

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呪術廻戦16巻/芥見下々

だが羂索もここに到達しようとしてる節がある。

つまり羂索の目指す先は

1.正解寸前で間違えている

2.羂索も正解を目指しているがそこにたどり着くのは主人公(ジョジョのラスボスでよくあるやつ)

 

のどちらかであると思われる。

 

 

⇓「天元」と「羂索」

amedot.hatenablog.com

 

↓変幻自在の呪力「里香」とは

amedot.hatenablog.com

 

↓夏油が五条に最後に貰った言葉とは

amedot.hatenablog.com

 

【呪術廻戦】五条悟から夏油傑への最後の言葉は「寂しいよ」  

呪術廻戦0の最後、
五条悟が夏油傑に向けた言葉。

分かっていることは

「はっ 最後くらい呪いの言葉を吐けよ」
という夏油の反応と、

作者の「0巻で既に言っている」発言だけ。

何を言っていたのでしょうか。

考察しました。

 

ついでに夏油と五条の性格も分析しました。



ネタバレ範囲は単行本0巻~9巻、公式ファンブック(公式FB)です。

特に0巻と8、9巻の重大なネタバレを含みます。

 

※映画呪術廻戦0のネタバレは全くありませんが映画を見て、それをふまえて考察しています。

 

 

【目次】

 

 

【おさらい】

呪術廻戦には3つの時間軸がある。

0巻の乙骨が主人公の時間軸

1巻から始まる
虎杖が主人公の時間軸

8巻から始まる
五条が主人公の時間軸



今回はこれらの時間軸をそれぞれ、
0巻
本編
過去編
として表します。

 

【0巻と本編と過去編の五条悟】

五条は夏油を逃がした日から変化した。
事実、過去編の五条は夏油を殺せず、
0巻では殺害できた。

何故か。

殺したくなった?

いいえ。

『殺す理由ができた』

からです。

 

【殺す理由】

五条は夏油を過去編で殺せなかったのに0巻では殺している。じゃあ、過去編から0巻の間に夏油に対する友情が薄まったのだろうか?五条にとって夏油は「どうでも良い人間」に成り下がってしまったのだろうか?

違う。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

あの『青春の日々』は五条にとって重く、楽しい日々であり、そんな3年を共に過ごした夏油は今も、昔も、殺した後すらも「たった一人の親友」だったはずだ。

 

なら五条はなぜ夏油を殺したのか

「親友を殺すほどの理由ができた」からだ。

 

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呪術廻戦2巻/芥見下々

五条悟には夢がある。

その詳細はまだ分からないが、後輩を育成し、何かを成そうとしている。「呪術高専の教員」として、「呪術師」として。そんな五条にとって呪術師の敵、生徒の敵、「夏油傑」は五条の敵でもあり殺さなくてはならない相手。

もちろん、できることなら殺したくはなかっただろう。100人殺したなんて全てで、もう一度隣で笑っていられたなら一番良かっただろう。
蒼き春を取り戻すかのように、
また二人で笑いあいたかっただろう。

しかしそれは事実

だから五条は「夢」を選んだ。

 

つまり

「五条悟」にとっての「夏油傑」は、
「夏油傑」にとっての「両親」だった。

 

【夏油が両親を殺した理由】

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呪術廻戦9巻/芥見下々

夏油は過去編で両親を殺した。

しかも残穢で分かるということは
誰かに委託しているわけではない。

 

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呪術廻戦0巻/芥見下々

そして0巻では「家族」と称し、美々子や奈々子のような仲間を大切に扱っていた。しかしわざわざどうして血も繋がっていない他人「家族」と呼んで愛しているのだろうか?

例えば夏油の本当の「家族」、非術師の両親が夏油に暴力を振るっていたりするゴミのような人間だったとしたら、夏油は「家族」という言葉に対しどんな印象を持つだろうか?

悪い印象しか持たない。

その名を愛する対象につけるだろうか?

つけない。

 

なら夏油にとって家族は愛し守る対象。
両親そのうちの2人だったはずだ。

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呪術廻戦9巻/芥見下々

五条が驚いたのは夏油の人柄から信じられなかったのもあると思うが、もしかすると初任給で親にプレゼントしたとか、あるいは両親の良いエピソードを夏油から聞いていたりしていたからなのかもしれない。

 

そんな夏油が両親を殺したのは、
殺す「理由」があったから。

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呪術廻戦9巻/芥見下々

呪力を垂れ流し、呪霊を生む原因となっている非術師を皆殺しにすることで、呪霊によって死にゆく呪術師を救いたかった。
それが夏油の理由であり「夢」だった。

 

しかし両親は「非術師」
殺す対象。
殺す理由がある。
だから殺した。

夢が霞んでしまわないように

自分が逃げてしまわないように

 

【終わった言葉】

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呪術廻戦8巻/芥見下々

夏油は呪霊操術を扱う
そして呪霊操術で操られた呪霊の呪力は
術師の物と異なる

つまり「夏油の残穢
「夏油が操る呪霊の残穢
”別物”のはずだ。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

更に夏油の呪霊操術の射程は、
東京と京都へ同時に呪霊を放つ程に広い。

 

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呪術廻戦9巻/芥見下々

じゃあ実家に残穢が残っているのは
「わざわざ直に両親を殺害した」から。

「本当は両親を殺したくなかった」

そんな気持ちがあるのなら、京都に呪霊を放った百鬼夜行のときのように、遠隔で実家に呪霊を送って殺せば、両親の死を見ずに済む。
そうすれば夏油の残穢も残らなかった

しかし彼はその場に赴いた

その場に居たのなら、呪霊すら介さず
その両手で親を殺したのかもしれない。

 

なら、「今日、この手で親を殺す」
そう覚悟して実家に帰ったはず。

だが、直に殺すなら一度は両親と会う。

帰省した息子に対し、
両親は話しかけてきだろう。

「おかえり。元気だった?」と。

多少は覚悟が揺らいだだろう。
後悔もしたのかもしれない。

しかしもう決めている。

決めなければならない。

そんな状況で夏油が選ぶ言葉。

『 別れの言葉 』

そんなものが仮にあったのなら、
「ありがとう」のような
『今の言葉』ではなく、
「ありがとうございました」のような
『終わった言葉』だろう。

「理由」「責任」が乗った

親に自分に向けた覚悟の言葉

それが 最後の言葉 』であるはずだ。

 

【五条の覚悟】

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呪術廻戦2巻/芥見下々

五条悟にも夢がある。
実現のために命を懸ける覚悟もある。

 

0巻、乙骨を守った。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

里香が暴走したら命がけで止めたと言い、乙骨が総監部(上層部)の敵と認定されたら乙骨の側に立つと言った。

しかし心残りがあったはず。

殺せなかったせいで呪詛師と成り、
人を呪い続けている親友、夏油傑

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呪術廻戦0巻/芥見下々

パパ黒が死に、禪院家に売られそうになっていたところを預かり、保護者代わりをしていた伏黒恵

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呪術廻戦9巻/芥見下々

そんな気がかりがあっても、譲れないモノのために命を懸けて乙骨の味方と言った。

 

五条夏油も同様に「夢」のために、それ以外の重大な何かを、親友すらも全て捨てる覚悟をして大人になった。だから五条は過去編で殺すことが出来なかった夏油を0巻ではほぼ躊躇うこと無く殺すことができた。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

夏油を逃してしまったあの日から、
五条の「理由」
「夏油」から
「夢」へと変わった。

 

【最後の言葉】

五条に夏油と同様に譲れない「夢」があり、
それ以外の全てを捨てる覚悟がある。

仮にそうなら、五条の最後の言葉も
「終わった言葉」だろう。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

腕を失い、呪霊を失った満身創痍の夏油。
対するは
ほぼ万全の状態で、殺しに来た『五条悟』

「詰み」

誰よりも視える自分が一番分かっている。

 

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呪術廻戦0巻/芥見下々

だから遺言を聞く。

 

”あのとき”と同じように。

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呪術廻戦9巻/芥見下々

もう、詰んだ夏油。

たった一人の親友。

知らぬ間に笑えなくなっていた

1人になっていた親友。

1人になる自分。

譲れない「夢」

それを胸に、遺す言葉は

 

「あの日々」とは真逆の

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呪術廻戦8巻/芥見下々

 

 

 

「寂しいよ」

 

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呪術廻戦0巻/芥見下々

 

 

 

 

 

【余談(ここからはネタバレ範囲16巻まで)】

≪覚悟の証明≫

「害獣」、「害虫」、「罪人」

人間は「攻撃する理由」がある相手には簡単に嫌悪し、殺意を抱くことができる。しかしそれが「良い害獣」、「良い害虫」、「良い罪人」。例えば渋谷編以降の「虎杖悠仁のようになると違ってくる。

だがそれらを区別することなく、私たちの代わりに等しく全て駆除してくれる「業者」「検察官」のような人間が居るから我々一般人は平和に暮らすことができている。

「覚悟」とは、
「悪い罪人」を殺す時ではなく、
「良い罪人」を殺す時にこそ試される。

 

夏油は「良い罪人」も殺す覚悟をした人間
だから守る対象だったはずの両親を殺した。
だから極力「良い罪人」との関係も絶った。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

しかし美々子や奈々子のような家族は違う。
彼女たちは私的にスマホを使うし、クレープだって食べる。なぜなら彼女たちが嫌悪しているのは「悪い非術師(罪人)」だけだからだ。そして彼女たちにとって「悪い非術師」とは自分を迫害したあの村の人間やそれに近い大人であり、彼女たちが敬う夏油が嫌悪する人間だけ。

もしも夏油の家族(夏油一派)が非術師になったら夏油は迷うことなく殺すだろうが、夏油が非術師になったとしても家族は夏油を殺さないだろう。

彼女たちの嫌悪に「覚悟」は存在しないから

彼女たちが言う「非術師が嫌い」という言葉は、我々が言う「ゴキブリが嫌い」と何ら変わりはしない。

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呪術廻戦6巻/芥見下々

彼女たちの「理由」は、
「夏油傑(他者)」なのだ。
過去の五条と同じように

だから美々子や奈々子たちは夏油にとって
「親友」ではなく『家族』なのだ。

≪置いて行かれたのは≫

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呪術廻戦8巻/芥見下々

五条は煽りとして使うほどに「孤独」であると認識していた。そんな中現れた対等に会話し、時に自分のブレーキになってくれる「夏油傑」。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

そんな夏油を善悪の指針にしていた。
つまり行動の「理由」にしていた。
隣合い歩いていたように見えて、
その実は親の真似をする子供のように、
「夏油の後ろを五条が歩いていた」。

つまり学生時代の彼らにとってお互いは、
「親友」だと思っていたのかもしれないし、
それほど深い関係だったのだろうが、
実際は「兄弟」の関係に近い。

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呪術廻戦16巻/芥見下々

故に前を歩く夏油は辛い。

強者である自分が間違えれば、後ろの人間は皆、間違えてしまうかもしれない。それ程大きい「理由」と「責任」が彼の双肩に乗っているのだから当然だ。

だからどれだけ力をつけようと、対処療法を繰り返す限り術師が死にゆく中、無意味に呪霊を食べ続けることとは違う大義が必要だった。「弱者生存」の信念に合う大義


自分は正しい道にいる。
無意味じゃない。
目の前の闇は光へと繋がるはず。

呪術廻戦9巻/芥見下々

そう思わせ、不安に対し、苦痛に対し、盲目でいさせてくれるような、『自分にできることを精一杯頑張るため』の、行動の「理由が彼には必要だった。

もしも仮に過去編で既に五条の「理由」「夏油傑」では無かったなら、五条が前か横にいてくれたなら、夏油が見出した非術師殲滅「狂った理由」相談することができていたのかもしれない。九十九由基(大人)にそうしたように。

「最強」に乗る「責任」「理由」を、
天内を救う選択をしたように「対等」なら、
事実はどうあれそう思えていたならば、
2人で分け合えたのかもしれない。

しかしそうではなかった。

五条は信者殲滅を夏油に問いた。
あの日、五条の「理由」は、
「夏油」だと知ってしまった。

本気で相談すれば、夏油の「理由」
五条の「理由」になるかもしれない。
「非術師殲滅」を掲げるかもしれない。
「コイツら殺すか?」と五条が提案したあのときのように、出会って間もない天内を救うために高専を裏切り、天元を敵にするかもしれない判断を下すことができたあのときのように、五条は「理由」さえあれば立派に狂えてしまえるのかもしれない

だから高専を抜けた。

「狂った理由」を自分を追う者たちに
強制したくないから。
するべきではないと思ったから。

 

だから独り。相談が「できなかった」

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呪術廻戦0巻/芥見下々

夏油が一人になったのは、五条が最強になったからだけではない。五条が親友のように夏油の「横」にいたのではなく、家族のように「後ろ」に居たから。

置いて行かれていたのは五条悟。

「最強の呪術師」だった

 

五条悟が強いのは

前を行っていた夏油傑のおかげだ

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呪術廻戦16巻/芥見下々

だから五条は教師という、
「前に」立つ立場を選んだのだろう。

大切な人を二度と一人にしないために、
自ら前」という孤独を選んだのだろう。

それが”五条悟”の「強さ」の理由。
最強の所以。

 

「理由」が「夏油」でなくなったあの日
夏油を逃がしてしまったあの日
真に夏油の「横」に立つ資格を得た。
依存する関係ではなく対等な関係になった

夏油を殺す「理由」のおかげで、
五条は夏油と「対等」に成れた。

つまり殺す「覚悟」がブレることは
「親友」であることの放棄に等しい。

 

だから「最後の言葉」

夏油が死ぬことが確定した言葉

死ぬ前提の言葉。

「寂しいよ」だろう。

amedot.hatenablog.com

≪他の言葉≫

「寂しいよ」の他に五条が夏油に遺した言葉の候補として上がっているのは主に「親友だよ」「愛してる」「おかえり」この辺りであると思う。

それに対する私の持論の詳細はTwitterにツリーとして5つほど繋げて載せてあるので興味がある方は見て欲しい。

 

 

≪関連記事≫

↓考察バチ当たり集

amedot.hatenablog.com

↓五条悟だから最強なのか?の解説

amedot.hatenablog.com

 

↓乙骨の術式『里香』とは

amedot.hatenablog.com

 

↓羂索の目的とは

amedot.hatenablog.com

 

↓夏油傑は日車寛見に似ている。

amedot.hatenablog.com

 

 

【呪術廻戦】心は天元のようにどこにも存在しない

東堂葵の「俺達は全身全霊で世界に存在している」について天元の特徴」をふまえて考察しました。

 

「心」はどこにあると思いますか?

頭ですか?

心臓ですか?

お腹ですか?

私はどこにもないと思います。

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ネタバレ範囲は単行本1~17巻と公式ファンブック(公式FB)です。

 

 

【目次】

 

【呪力とは】

呪力とは「負の感情から生まれるエネルギー」であり、これを使って術式を発動したり、身体機能を向上させ戦う者を「呪術師」と呼ぶ。

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呪術廻戦2巻/芥見下々

負の「感情」から発生するという特性上、呪力のコントロールの修行は「感情のコントロールから始まる。

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呪術廻戦5巻/芥見下々

そして「腹がたつ」という言葉があるように一般的に呪術師は腹を起点に呪力を各部位へと流し、扱う。

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呪術廻戦5巻/芥見下々

しかし東堂が言うにはそれは「初歩」であり、『俺達は全身全霊で世界に存在している』らしい。おそらく前後の文脈的に東堂は「全身で呪力を練ることができる」そう言いたかったのだろう。

 

しかしこれらはおかしい。

 

「呪力が負の感情から生まれる」という論理は修行方法にも組み込まれているし、東堂や五条を含め強い人間も皆そう考えている。これが間違いであるとは考えづらい。

 

そしてセオリーになるということは「腹から呪力を流す」ことは不可能であるはずがない。実際に行うことが出来ることであるはず。

 

東堂の発言も虎杖の覚醒の手助けになっている以上、そんなに的外れなことを言っているとも思えない。

 

これらを総合して考えれば

『呪力とは「負の感情から生まれる」が、「腹から」なんなら肉体の「どこからでも」生み出すことができ、それを流して一か所に集めることで一流の術師は流れが読み辛く強力な攻撃をしている』

はずなのだ。

 

じゃあ至る所で発生できる

「呪力」とは

「負の感情」とは

どこから生み出されるのだろう

 

 

【心の所在地】

呪力は負の感情から生まれる

なら「感情」はどこで生まれるか。

 

科学的に言えば「脳(扁桃体)」だ。

「記憶」に人は心を動かされる。

 

しかし同じ質問をしたとき、こう答える人間もいるだろう。

「心」だと。

「心」とは目に見えず、物質として存在せず、しかし人間にはどこかにあると信じられている「何か」。我々は「心」を目で見ることが出来ない。故にある人は「心」「頭(脳)」にあると言い、ある人は「心臓」に、ある人は「肝臓」にあると言う。

 

仮に脳から感情が生まれ脳で生まれた負の感情から呪力が生まれているのなら、脳から起点に呪力を流すことが正解だ。心臓であっても同様に。

しかし先ほど書いた通り、呪力は全身から生み出せるものであってどこか特定の部位から発生する物であるとは思いづらい。

 

じゃあどうすれば

「どこからでも」

呪力を練れるのか。

 

発生源がどこにも

「無ければ」

良いのではないだろうか

まるで今の天元のように

 

天元

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呪術廻戦17巻/芥見下々

天元は過去編で同化に失敗し、進化してしまった。進化した天元「どこにでも居てどこにも居ない」存在に成り、故に複数の人間と同化が可能である。

つまり天元「ここにいる」と確定していないが「存在する」ことは確定しているから、どこにでも居ることができてしまう。

しかし我々人間は確かに「今この場所に存在する」ことが確定しているから、自分の前にあるモノにしか干渉することができない。

 

「どこにもいないからこそ

どこにでも影響を与えられる」

仮にこんな天元のような存在が人体にあって、それが呪力の源になっているのなら、腹や頭、肉体のどこからでも呪力を生み出すことができる。

 

つまり

「負の感情」「心」から生まれ、「心」天元と同様に肉体の「どこにでも居てどこにも居ない」なら、天元がいたる所で不特定多数と同化ができるように「心」「どこからでも呪力を練ることができる」

 

 

【術式】

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呪術廻戦2巻/芥見下々

術式は肉体に刻まれるらしい。

じゃあどこに刻まれるのだろうか。

何が肉体に刻むのだろうか。

 

以前、私は術式が刻まれる条件を「呪力が混ざること」だと考察した。

amedot.hatenablog.com

今回の話をふまえて考えるなら「呪力が混ざる」ということは「心が混ざる」ということに等しい。つまり術式は「心」「肉体」に刻むものであるはず。

 

ということは逆に言えば術式を里香に刻まれたかもしれない乙骨や、いつか宿儺の術式が刻まれるであろう虎杖は「心が混ざっている」のかもしれない。

 

乙骨はまだしも虎杖は相手が宿儺。

術式が刻まれるほど心が混ざって

自分を保つことができるのだろうか?

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呪術廻戦14巻/芥見下々

 

【余談】

≪呪力の源≫

呪力は感情から生まれている。

そして感情が生まれているのが「心」ならばそれは「どこにもない」「特定の臓器」である。そして「どこにもない」だろう。と前述したが、今回は特定の臓器から呪力が生まれていると仮定してみよう。

つまり

「心臓」

「脳」

「肝臓」

しかし実はこれらから呪力が生み出されているのだとすれば矛盾する描写が幾つも出てきてしまうことになる。

 

・心臓から

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呪術廻戦2巻/芥見下々

心臓から呪力が生まれているのだとすればそれを取り除いてしまった宿儺が呪力を練ることができるのはおかしい。体を治すにしても反転術式にも呪力が必要なはずだ。

 

・脳から

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呪術廻戦11巻/芥見下々

脳から呪力が生まれているのだとすれば夏油の脳と羂索の脳を入れ替えればその肉体は夏油の呪力ではなく羂索の呪力を発するはず。しかし実際は夏油の呪力を発する。

 

・肝臓から

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呪術廻戦12巻/芥見下々

これも虎杖は怪我したことがあるが、虎杖やその後乗っ取った宿儺は平然と呪力を扱っている。

(肝臓に心があるというのは聞きなじみが無いと思うが、バビロニア(現イラク南部)ではそういう思想があったらしい)

 

よってこれらから、「特定の臓器」に呪力を生み出す「心」は特定の部位に存在しないだろうと考えられる(そもそも心が特定の臓器にあるのなら呪霊や天元は呪力を練ることができないはず)

 

【どこにでもあってどこにもないモノ】

心は「どこにでもあってどこにもない」。そう前述したが、これは「どこにも存在しない」とは違う。「存在するが、特定の場所に在るわけではない」ということだ。ではそれは何か?

呪術廻戦2巻/芥見下々
「生得領域」だ。