呪術廻戦の日本は呪霊にあふれている。
試される大地、北海道もおそらく同様に。
なぜか。
日本人は多くの呪力を発するからだ。
じゃあどうして呪力を発するのだろうか?
天元の結界のせいだろうか?
否、『神道』と「カムイ(アイヌ文化)」である。

ネタバレ範囲は0~30巻です。
【目次】
【呪霊】

日本にのみ多く発生する呪霊。
まずはその成り立ちについてまとめる。
呪霊とは呪力が形を成し、
知性と実体を得た存在。
呪力とは負の感情。
負の感情がその根源に集まり、
折り重なることで呪霊となる。

例えば、多くの人間が怪談を恐れると、
怪談通りの呪霊が発生する。
呪霊の元となる呪力を多量に有し、
漏らしているのが日本人特有の現象。
故に日本に呪霊や呪術師が多い。
まぁ、それ自体に問題はない。
問題は「なぜ」日本に呪力が多いかである。
【天元の結界】

日本全土を覆う天元の結界。
これを用いた死滅回遊を以て、羂索は日本人全員の呪術耐性を上げ、天元への適正を持たせようとしていた。
しかしこれは
天元の結界=呪術師適正を上げる
というわけではない。
そもそも日本を覆う天元の結界を乗っ取れば、新たに超広大な結界を作らずとも現実的な労力で目的を達することができるよね。という話である。
つまり天元の結界が日本を覆う以前から
日本に呪力が溢れていたのかもしれない。

実際、天元が同化に成功した回数は2回。
そして500年で肉体の限界を迎える。
つまり最長でも1500年しか生きていない天元に対し、2~3世紀頃にドルゥヴは存在している。
現代ケニアにおけるミゲルのようにドルゥヴが外れ値である可能性は十分にあるが、それにしては強すぎる。乙骨に即殺されてはいるが、ドルゥヴは相性こそあれど石流、烏鷺、黒漆死と竦みの状態にあった実力者である。
ドルゥヴこそが天元の結界が日本を覆う以前から、
日本が呪力大国であった証左と考えられるはずだ。
【試される大地】
羂索は天元の「ならし」とする結界に
北海道を含めなかった。
これは、北海道には北海道八十八ヶ所霊場会と呼ばれる霊場が存在することも関係しているだろう。しかし、それは北海道全土を覆う物でも、死滅結界のように動く物でもない。
九十九が言うように、呪術連、つまりアイヌ呪術連の結界によるモノだろう。
ではなぜ、呪術連は
死滅のような慣らしを行う必要があったのか。
その理由を九十九は
「試される大地」として片づけた。

「試される大地」。
これは菅原道真が日本三大怨霊と呼ばれていることとは違い、歴史的事実や逸話がある訳では無く、ただのキャッチコピーである。
1998年8月北海道広報が公募し、選ばれたキャッチフレーズが「試される大地」であるというただそれだけである。
九十九がその経緯を知らない。
その共通認識が北海道を実際に
「試される大地」に変えた。
どちらもしっくりこない。
北海道は呪霊や呪力に満ちる環境、
またはそうするための呪術連の結界。
それら背景を評しやすいフレーズとして
「試される大地」を用いた。
これが一番自然だろう。
つまり、
日本は世界の中で呪力に近い土地。
北海道はその中でも有数の土地。
であるということだ。
であれば、日本と北海道の共通項を求めることができれば、「なぜ日本が呪力にあふれているか」を求めることができるはずだ。
その共通項とは「神道」である。
【八百万の神】
自然現象、物、生きもの。
この世の全てには神が宿る。
つまり数えきれないほど無数の神、
「八百万の神」が存在する。
これが神道の基本理念である。
神道は日本では縄文時代から存在した思想とされており、宗教として確立したのは西暦538年、仏教伝来と同時期とされている。
1000年前、呪術全盛の平安時代よりも、
1500年前、天元台頭の時代よりも、
1800年前、ドルゥブ全盛の時代よりも、
遥かに前から存在したとされる思想、
それこそが「神道」である。
【カムイ】
12世紀ごろ、北海道および東北地方にわたって分布していた擦文文化が変容して生まれたのが「アイヌ文化」とされている。
その「アイヌ」の精神文化の中心には、
物質界と精神界に対する深い敬意があり、
動植物、自然現象、物質。
全てのモノに「ラマッ(魂)」が宿る。
その中でも一部を「カムイ」とし崇拝した。
これこそがかの有名な「カムイ」である。
【神道とカムイ(アイヌ文化)と呪霊】

意思も知性も、時には形すら無い万物に、
神や魂のような科学的に証明されていない
「何か」が宿っていると定義し崇める。
そう、神道とアイヌ文化は酷似している。
そして、呪術廻戦における呪霊とは、
形が存在しない「呪力」に魂が宿った存在。

神道とアイヌ文化だけでなく、
呪霊の成り立ちすらも酷似している。
国民皆が全てを崇拝し、畏敬の念を抱く。
これは呪霊と相性の良い信仰なのである。
ここまでで日本とアイヌ(北海道)に呪霊や呪力があふれる原因について考察を述べた。
ここからは仮説を述べる。
呪術廻戦における日本が、
どんな歴史を辿ったかの「仮説」
【歴史仮説】
1万6千年前の縄文時代。
日本人は八百万の神を信じていた。
身の回り全てに魂が宿ると考え崇拝した。
呪霊と相性の良いその思想は、
海外より多くの呪霊を生み出した。
神道やカムイといった「思想」は、
呪力により確固たる「現象」に変化し、
より畏敬の念を集めることとなった。
この段階では、
「少し」呪霊が生まれやすい。
「少し」日本国土に呪力が多い。
その程度だったのだろう。
しかし、それが積み重なればどうか。
二世紀後半、弥生時代後期。
卑弥呼が居たとされる時代。

そのころには現代程とまではいかずとも、呪霊が発生しやすい環境にあったのだろう。
故にドルゥヴ・ラグダワラが生まれ、
倭国大乱を制圧した。
そして5世紀(飛鳥時代)、天元が誕生。
奈良時代(7世紀頃)に天元により、
術者の道徳を説く「盤星教」設立。

西暦1000年。平安時代。
歴史的に考えればこの間何度も大戦が起こる。
戦争は悔恨を引き出す。
戦争は飢餓を生み出す。
その負の念は、呪霊の発生しやすい日本を更に呪力溢れる土地へと変貌させていったはずだ。

故の呪術全盛。平安の世。
こうして日本は呪力の溢れる地へ
北海道は試される大地へ
変貌したのではないだろうか。