amedotのブログ

呪術廻戦の考察を主に書きます

【呪術廻戦】『五条悟は乙骨憂太の術式「模倣」の秘密を知る』

これはとある五条悟のセリフから
乙骨憂太の謎の術式「里香」
「模倣(コピー)」の力の、
「秘密」について
考察した記事です。

 

五条はなぜ

「あれ」を知っていたのでしょうか

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ネタバレ範囲は0巻~16巻+公式ファンブック(公式FB)

特に0巻の重大なネタバレを含みます。

お気を付けください。

 

 

 

 

【目次】

 

 

 

【乙骨の術式名】

公式FBで乙骨の謎の異能力の名前が判明。

その名も「里香」

なぜ、そんな名前の術式なのだろうか。

 

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

術式名「里香」

当然、乙骨の最愛の人

折本里香から取った名前だろう。

 

術式名を個人が自由に名付けることができることは今までからするとそう不思議なことではない。

例えば呪霊の術式名。人間の文化や考え方に興味を持ち、本を読んでいたりしていた真人の術式には「無為転変」と名前がついているが、実は他の呪霊の術式には名前がついていない(両方とも技名はついている)。おそらく漏瑚たちはそこに興味が無かったから名前をつけなかったのだろう。

 

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

しかし、乙骨が「里香」とつけるのは

少し不自然だ。

折本里香は過去に呪霊となり

0巻にて解呪され消滅した。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

そう、消滅したはずなのだ。

 

だが16巻でも乙骨は謎の呪霊を
それまで呼んでいた

「里香ちゃん」ではなく

「リカちゃん」と呼び

使役していた。

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呪術廻戦16巻/芥見下々

そして術式に「里香」と名前を付けた

なぜ、呼び方を区別しているのだろう

なぜ、まだ「りか」が居るのだろう

「リカちゃん」とは何だろうか。

 

「里香」の能力とは。

 

【里香とリカ】

まず折本里香はなぜ特級怨霊になったか
それについて整理する。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

ここからわかる通り
折本里香が怨霊として横に居られたのは
あくまで無意識に乙骨が行ったこと。
2人が愛し合っていたこと。

様々な要素で魂を現世に抑留するという

不可能を可能にしたからだ。

 

しかし0巻以降にできるとは思えない。

まず乙骨がそれを望まない 

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呪術廻戦0巻/芥見下々

最愛の人を意識のない怪物にして戦わせる
そんなことは彼にはもうできないだろう。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

望んだとてそれが意識的であれば不可能。

そもそも里香を抑留し直しているのなら呼び分ける必要はない。(呼び分けることで乙骨が現実逃避している可能性はあるかもしれないがそこまでして里香を化物にもう一度する動機は現状無い。というより存在しない。)

なのでリカちゃん折本里香特級怨霊里香
つまり「本物」であるとは考えにくい。

 

だが逆に完全に「偽物」とも考えにくい。

例えば全く関係のない式神や呪骸の姿をわざわざ折本里香ではなく特級怨霊里香に近づけ、攻撃を手伝わせ、そのただの怪物に死んだ愛する人と同じ名前を付けているのだとすれば、流石に乙骨が気持ち悪すぎる。

人形に好きな人の名を付け愛でることすら

思春期の女の子でギリギリだ。

 

じゃあ「あれ」なのか。

どうやって生み出されたのか

 

それを解くカギは

「12話」にあったのかもしれない。

 

【五条悟の適当さと六眼】

五条は遅刻したり、虎杖の質問を流したり、アニメでは教え子のスカートをはいたりと間違いなく適当な人間。

 

だが彼は学長には基本的に敬語を使う。

(テンション上がると敬語は解ける)

 冥冥に対してもさんをつける。

虎杖が宿儺の指探知機になると言ったのもちゃんと合理的に考えた末の結論だ。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

後継育成に力を入れ、渋谷の地下では一般人を気にかけた。御三家が渋谷後の混沌とした世界で自分しか考えていないことを加味するまでもなくまともな行動だと言えるだろう。

 

「五条悟」という人間は

あくまで「呪術師」「呪術教員」

その点と強さにおいては信頼できる

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呪術廻戦3巻/芥見下々

ならばこれにも根拠があるはずだ。

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呪術廻戦2巻/芥見下々

「術式が刻まれる」

おそらくこれは六眼という呪力をサーモグラフィーのように詳細に見ることができる眼で、虎杖と宿儺の呪力が「混ざって」いたことを確認したことで導き出した答えだろう。

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呪術廻戦1巻/芥見下々

じゃあどうして導き出せたのだろうか。

「術式が刻まれる」結論を出すには

刻まれたケースを知る必要があるはずだ。

 

しかし術式は基本的に先天的に
刻まれている。

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呪術廻戦2巻/芥見下々

胎児や少年を見てもその結論はでない。

 

だが

「混ざった」前例を知っていたとしたら
この結論がでるのにも納得がいく。

じゃあどんなときに呪力は混ざるのだろう

 

羂索を中に宿す偽夏油は
混じりけのない夏油の呪力を発する。

つまりこういったものではない。

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呪術廻戦11巻/芥見下々

天元の同化は五条も見たことがないはず。
(同様に任務にあたった夏油も見れていない)

よってこれでもない。

 

九相図のような受肉の場合は肉体の主導権を完全に奪われるので虎杖とは少し違うケースだろう。

 

 

「乙骨憂太と折本里香」

仮にこれらが「混ざって」いたのなら
五条が前例を知っていても不思議ではない。

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

 

【乙骨の能力】

0巻まで乙骨と怨霊里香は約5年共にいた。

0巻時、乙骨は2人を繋ぐ指輪によって

里香から呪力を「貰い受け」刀に込めていた

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呪術廻戦0巻/芥見下々

そして夏油との最終決戦では命を担保
四千体以上を1つにした攻撃に対抗し打ち勝った。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

否、正しく表現すれば

「未来」「心」「体」

「一緒になる縛り」

これによって打ち勝った。

 

それは里香の解呪で完遂されなかったが

乙骨と里香の呪力

「混ざって」いるどころか

乙骨と里香そのもの

「混ざって」いてもおかしくない。

 

「混ざった」のなら「刻まれる」はず。

里香の「力」が乙骨へと。

意識なき怨霊里香が名前を付けず使い

乙骨と混ざり、刻んだ変幻自在の「力」

それに乙骨が「里香」という名前を付け

それを見た五条が刻まれた「前例」を知り

その変幻自在な術式で乙骨はリカは生まれた。

こうすれば全てが繋がる。

 

 

『五条悟は乙骨憂太の術式の秘密を知る』

 

 

 

[補足]

≪なぜリカは生まれたのか≫

なぜ乙骨はリカを作る必要があったのか。

これも乙骨と里香が虎杖と宿儺のような関係ならば説明がつきます。

 

虎杖が肉体の主導権を持っている限り、宿儺は術式や呪力をほぼ行使できません。つまり乙骨と里香、虎杖と宿儺が似たような関係にあるならば、0巻最後の「一緒になる縛り」によって乙骨と里香が一部混ざり、乙骨の中に里香の力が刻まれたとしても、乙骨が自身の肉体の主導権を保持する限り、虎杖の中の宿儺のように里香の力は殆ど表に出てこないはずです(乙骨≒虎杖、里香(リカ)≒宿儺で考えると分かりやすい)

ここで「指輪」が重要になります。

「婚約指輪」は2人を『繋ぐ』もの。

これを使えば乙骨の中にある里香の力と乙骨を繋ぎ、まるで0巻のときのように力を借り受けられるようになると考えられます。

そして乙骨と里香(の力)を繋ぎ、里香の力を引き出すならば、器となる形が必要となることでしょう。そうでなければ里香の膨大な力を乙骨が全て引き受けなければなりません。

そこで「リカ」が必要になり、彼女の遺志で生まれてきたのでしょう。

 

≪最初に乙骨が里香と結んだ縛り≫

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呪術廻戦公式ファンブック/芥見下々

里香が抑留されたのは前述した通り、様々な要素が絡まり「バグのような縛り」が発生したからだ。そして「縛り」と言われている以上、何かの「契約」であるはずだ。
ではその「契約」の内容とは何か。

私は「婚約」だと思う。

乙骨は里香が死んで呪霊になる前に一度婚約している。そのときに彼はこう言った。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

『ぼくらはずーーっといっしょだね』

彼はまだ子供だった。おそらく発言した直後は軽い気持ちだったのだろう。ずーっと仲良くしようね。友達で居ようね。それくらいの思いで里香にこの言葉を投げかけたのだろう。

しかし里香はその後死んだ。

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呪術廻戦0巻/芥見下々

乙骨は認めたくなかったはずだ。
明日から里香と会えないことを。
そして否定した。拒絶した。
無意識に願ったのだ。

2人を繋ぐ指輪に、「約束」

 

ぼくらがずーーっといっしょ
  だったら
よかったのに』

 

死者と現世で一緒になることは不可能。

しかし乙骨はまだ子供。死ぬ勇気もない

里香も乙骨に死んで欲しくない

「死にたくないが死者と一緒にいたい」

そんな2人の矛盾を叶える程の力が

乙骨の血には”あってしまった”

そうしてこの約束は、純愛

歪んだ「縛り」に変化し、2人は

 

呪霊として、ずーーっといっしょになった』

 

 

つまり乙骨は幼少期に「一緒になる縛り(約束)」を既に里香と結んでいた。そして里香が死んで現世で一緒になることができないことも、自分が里香を追いかけてあの世で一緒になること否定し、それでも乙骨は里香と一緒にいたいと願った里香もそれを願った。そんな矛盾した願い乙骨の才能「一緒になる約束」を歪ませ、里香を怪物へと変化させた。しかし乙骨は夏油との戦いのさなか、死して一緒になることを許容した。そして矛盾は解除され、「呪い」は解けたのだろう。

 

五条の「愛ほど歪んだ呪いはない」という言葉は「愛は負の感情(呪い)である」という意味で言っていたのではなく「愛ほどに強い思いは心を歪ませ呪いに変わる」そういった意味で言っていたのだろう。

夏油が弱者を愛し壊れたように。

里香の運命が狂ったように。

 

≪要するにどういうこと?≫

Twitterだと細かい話をざっくり省いてるので、1分もあれば読めます。

 

 

 

 

≪関連記事≫

↓宿儺の術式とは?

amedot.hatenablog.com

 

↓『乙骨憂太は君になれない』について

amedot.hatenablog.com

 

↓0巻の五条の最後の言葉とは?

amedot.hatenablog.com

 

↓五条は他にも秘密を知っているのかもしれません

amedot.hatenablog.com

【呪術廻戦】文系でもわかる禪院家相伝「投射呪法」

禪院直毘人と直哉が使う
「投射呪法」について解説します。
「投射呪法の原理」、
「なぜ投射呪法は加速するのか」
これらについて解説しています。

ストーリー的なネタバレは皆無です
単行本派、アニメ派の方もどうぞ

※ただしあくまで個人の解釈となります。芥見先生が考えているものと100%同じであるという保証はできません。

 

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【目次】

 

【動画のしくみ】

投射呪法について説明する前に、
「動画」の仕組みについて解説します。

「動画」は文字通り動く絵画ですが、
実は厳密には動いていません。

少しずつ時間をずらした絵を描き、それを高速で切り替えることによって「錯覚」させています。厳密には0.1秒や0.01秒ごとに見れば瞬間移動するタイミングがあるわけですが、人間の脳はそれを認識できなかったり動いていると錯覚してしまうのです。

そしてゲームをする人なら聞きなじみがあるfps(視点の話ではない)」は簡単に言うと決められた時間あたりの絵の枚数のことを指しています。

つまり時間を1秒、枚数を60枚とすると
60fpsとなるわけです。

1秒ごとの静止画の枚数が多ければ多いほど、fpsが高ければ高いほど、アニメでいう「作画が凄い(現実のようにヌルヌル動く)」になるわけです。

 

≪まとめ≫

動画は時間がずれた静止画を
高速で切り替えることで
動いていると「錯覚」させている
(パラパラ漫画と同じ原理)
そして時間あたりの枚数のことを
fpsと呼ぶ。

 

【投射呪法】

「動画」について理解できれば「投射呪法」についてほぼ理解したと言っても過言ではありません。

 

結論から言うと「投射呪法」
脳内で作り出した「動画」
「具現化(再現)」する術式なのです

 

では実際に作中の説明を見てみましょう

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呪術廻戦13巻/芥見下々

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呪術廻戦13巻/芥見下々

これから分かる通り原理は
①対象者の視野から静止画を作る

②24fpsの動画を脳内で描く

③具現化(再現)する

この3つだけです。

 

動画が描けなかった際にフリーズしてしまうのは「静止画」が再現されてしまうから。

過度に物理法則や軌道を無視した動きを作った際にフリーズしてしまうのはそれが「動画」にならないからです。

例えば画面の右端から左端に
棒人間が移動したとします。

それは2枚の「静止画」であって
「動画」ではないですよね?

「移動」ではない
ただの「瞬間移動」です。

 

そして物理法則を無視した動きを再現
これも「動画」を「具現化」する術式
とは別の能力になってしまいます。

ただの「現実改編」です。

「瞬間移動」「現実改編」
「動画の具現化」ではないので
具現化できないのです。

 

つまり「投射呪法」とは、

はじめの画角から静止画を作り

それを元に脳内で「動画」を作り

具現化(再現)する能力なのです。

 

↓補足。

 

 

【理系に向けた補足】

「動画」の説明をした際に言った通り、「動画」は現実と違って動いていると「錯覚」させているにすぎません。どれだけ作画が凄くても静止画の集まりで「動いて」はいません。
これをそのまま現実に持ってくれば、1秒に24回瞬間移動することになります。瞬間移動を繰り返して移動している人間に、「運動エネルギー」は存在できせん。「動く」から「運動エネルギー」が発生しうるからです。つまり攻撃ができないのです。

「投射呪法」で速度が上昇する原理はここにあるのだと思います。

「動画」が人間の目や脳を介して空白を消して、現実のように「動いている」と思わせているように「投射呪法」は脳内で作り出された24fpsの動画にあるはずの「空白」を速度を上昇させることで補っているのだと思います。

 

 

相伝の術式」とはなにかという考察です

amedot.hatenablog.com

 

⇓禪院直哉は成り果てる?

amedot.hatenablog.com

【呪術廻戦】呪術は「祝福」か。双子の凶兆は「祟り」か

「双子」は「凶兆」

そう呼ばれる理由について考察しました

ネタバレ範囲は148、149話と単行本です。

お気を付けください。

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前半は「凶兆たる双子」について

後半は「呪術」と「祝福」と「祟り」

を考察しています。

 

禪院家の「呪い」とは

「呪術」とは

「祝福」なのでしょうか?

「凶兆」とは

「祟り」なのでしょうか。

 

 

 

【目次】

 

 

【凶兆たる双子】

 

《双子は凶兆》

双子は凶兆と言われている。

だがなぜ凶兆なのだろうか。

ここに仮定を立てた。

 

仮定

・双子は弱いから凶兆である

(扇が149話まで殺そうとしなかったということは強くなる可能性があると思われる)

 

・双子が生まれた代は不幸になるので凶兆である

(同じく殺そうとしなかったということは不幸にならない可能性があると思われる)

 

この2つが考えられる。

まずは双子は弱いから凶兆説について深く考える。

 

《第1の可能性》

149話で真依によって双子は呪術的に「同一人物」であると説明された。だから弱いのだと。

だが同一人物と言っても色々な種類がある。

「真人タイプ」「覆面男タイプ」だ。

 

渋谷事変で真人は元は1つの魂を分けることで、肉体を増やした。これは両方「真人」であると言えるだろう。つまり同一人物と言えるはずだ。

 

次に過去編で出てきた覆面男

彼は自分を複製させることができた。

 

これらの違いは「魂を分割した」

「魂を複製した」かだ。

 

双子はどちらなのだろうか。

 

《魂の分割》

amedot.hatenablog.com

この理論は以前にも記事に書いたがつまりは普通の人間が1の魂を1人の人間で占領するのに対し、双子は1の魂を2人で分け合って生まれてしまう。そして真人の分身の術式や呪力が弱体化していたように、弱い魂をもって生まれるため弱くなる。

0.5ずつ魂を持ったとしたら半人前の呪術師が2人。0.7と0.3ずつ魂を持ったとしたら中途半端な術師と中途半端な天与呪縛者が生まれてしまうということだ。そして魂が元は同じものだった故に繋がりが強いのだ。

これが「魂の分割説」

図で表すとこんな感じだ↓

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《複製説》

文字通り「同一人物」という説だ。

図で表すとこうなる↓

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つまり真希と真依は本来同じ素質(構築術式)を持って生まれるはずだったが、真希はその術式を捨てることで天与者である真希と真依という歪なコンビが生まれてしまったということになる。

 

これ以上考察しても面白くならなさそうなので詳しく気になる方はTwitterで考察しているのでそちらを見て欲しい。(引用RTも使いつつツリーにしている)

 

 

【呪術と祝福と祟り】

 《異能力》

ここ十数年の少年漫画、特にバトル漫画の主人公は大体が「異能力」を持っている。それはあるときは「気」、またあるときは悪魔の実「個性」という名前で呼ばれ、その能力、強さを磨きあげることよって未来を勝ち取る。それが少年漫画のテンプレ的な流れだ。そしてそのルールは週刊少年ジャンプで連載している「呪術廻戦」にもあてはまる。「呪術」という異能力を使い、彼らは自分が思い描く未来を手繰り寄せる。

だが「呪術」「気」悪魔の実のような、望んだ未来を手繰り寄せるだけの「異能力」とは少し毛色が違う。夜蛾学長が「呪術師に悔いのない死はない」と言うようにそれを扱う者は基本的に不幸になって死んでいく。しかも「呪術師」になる理由は七海が両方クソと言ったように「家系」「家計」「人を助けたい」等の呪術師を選ぶ必要性の無い消極的なものが根幹にあることが多い。なのにも関わらず時に命を天秤にかけ、任務を優先しなければならない。そしてそれはその秘匿性から世間に認められることは現状皆無と言っていい。東堂というワクワクすることがやりたいという冒険心から呪術師を選ぶ者もいるが、きわめて例外的であるし、術式を失った彼はそんな場面に合うことは減ってしまうことだろう。

もちろん「呪詛師」もこの不幸からは逃れることが出来ない。考えて欲しい。誰もが一度は犯罪を視野に入れてしまったことがあるはずだ。あのおもちゃが欲しい。あいつが憎い。思い通りに動かしたい。壊したい。でも常人は踏みとどまる。否、実現する力が無いだけだ。法や警察という抑止力を倫理観という言葉に変換しているに過ぎない。抑止力が無ければ倫理は薄れてしまうのだ。だがこの抑止力は基本的に「呪術」には働かない。犯罪フリーパス券を持って、周囲には無い強力な力を持って生まれて、今と同じ倫理観を保てる人間が何割いるだろうか。善悪は環境によって容易く変化してしまうのだ。そういった意味で「呪詛師」も同様に「呪術」によって不幸になっていると言えるだろう。

そういった特徴を持つ「呪術」はどちらかといえば僕のヒーローアカデミア「個性」に近い。「個性」「遺伝」であれ「個性による継承」であれ徐々に強力なものへと変化していく。そしていつか人間という器の限界点を超える。そのときどうなるかは主人公の苦悩を見れば想像がつく。そして現状それを避ける方法は全人類が「個性」を失うことしかない。つまりヒロアカにおける「異能力」は未来を切り開く手段という「幸運」であると同時に人類には必要なかった「不幸」なのだ。

 

《現実の呪術と祝福と祟り》

現実社会における

「呪術」「祝福」「祟り」

これらの違いをご存知だろうか?

「呪術」とは非超常的存在である人間や霊が他者に不幸を与える行為のことを指し、「祝福」とは超常的存在である神等が他者に幸福を与える行為、またはその幸福そのもののことを指し、「祟り」とは超常的存在による不幸を与える行為、またはその不幸そのものを指す。

 

つまり

霊(人間)→ 人間  は呪術(呪詛)

神 → 人間     は祝福or祟り

ということです。

ここからは現実での「呪術」「呪術」

呪術廻戦の「異能力」としての

「呪術」『呪術』とします。

(ここからややこしくなるのでこれらの定義をちゃんと頭に入れておいてください)

 

この定義に当てはめれば、望んだ未来を手繰り寄せる「異能力」である「気」や「悪魔の実」は神の「祝福」と言えるだろう。逆に未来を切り開く力であると同時に人類に必要のなかった「個性」は「祟り」であると言える。
ならば『呪術』はどれなのだろうか。
人や呪霊を呪い、自らが望む未来に近づこうとする方法としての『呪術』はまさしく現実社会における「呪術」と同じである。そしてその力を振るい、望んだ未来に近づこうとする様を見ると、天に「祝福されている」ように感じる。だが『呪術』という不幸になる才能を授けられてしまったその状況は「祟られている」とも考えられる。
 
『呪術』「祝福」ならば良い。
それで未来を切り開けるから。
だが「祟り」なら
不幸という「代償」が必要なはずだ。
強い力であればあるほど強い「代償」が。
そして強い力を何代にも渡り継承し続けた者
その「代償」「悔い」程度に収まるのだろうか?
 

《第2の可能性》

はじめに「双子は凶兆」の可能性を2つ挙げた。
1つめは「弱いから」
次に「不幸が起こりがちだから」と。
 
今度は後者について考えていきたいと思う。
「双子」「祟り」
「代償の兆し」なのではないだろうか。
149話にて真希は真依の死によって扇が甚爾を思い起こす程の肉体と白い毛の生えた刃を手に入れ、禪院を、全てを壊す覚悟を決めた。ということは過去に真希と同様に甚爾は禪院に牙をむいたことがあるということだ。
 
そして以前の記事でも述べた通り
真依の命と真依と真希がこれから得られたであろう、全ての呪力を犠牲にして生み出されたは過去編で甚爾が携えていたに非常に似ている。

つまり

刃を持っている人間は両者

完全なフィジカルギフター。

所持している刃はそっくり。

そして同様に禪院家に牙をむいている。

禪院家に「不幸」が及んでいるのだ。

これが禪院家が『呪術』を継いできた

「祟り」による「代償」

双子は不幸の兆しだったのではないか。

故に「双子は凶兆」

 

だとすれば他の家が払う「代償」とは

どんなものになるのだろうか。